新着情報(アットホーム博多の森)

2020 .3.10

アットホーム博多の森

『動き出しは本人から』

今年度、アットホーム博多の森では「動き出しは本人から」の取り組みを続けてきました。

全ての職員が一貫した対応や声掛けを続けることで入居者様に様々な変化が見えてきました。

 

今年度の取り組みを振り返りながら入居者様の具体的な変化をお伝えしたいと思います。

まずは簡単なこの取り組みのご説明から…♪

 

 

今年度は各ユニットにて入居者様を選定し、「動き出しを促す動作」と「促し方」について統一した対応を決めて取り組みを進めました。

もちろん最初から上手く行く方ばかりではなく介助を求める場面も多く見られました。

 

しかし介助者だけではなく、「本人様の動ける力を本人様にも信じてもらう」そんな思いで時には勇気づけながらこの取り組みを根気強く続けてきました。

その中で大きく生活や動きが変わった入居者様について2例ご紹介したいと思います。

 

     

 

【事例1】

〇まずお一人目は70代後半の男性入居者様、軽度の左片麻痺による運動機能障害があり認知機能の低下も見られている方です。

この方は支えながら歩行器で短距離なら歩行できる能力はあるものの排泄の場面では全て職員が手助けをしてしまう状態でした。

 

そこで手摺りの新たな設置によるトイレの環境整備を行い、その手すりを持ってご自身での立ち上がりとズボンの上げ下ろし、ドアの開閉や電気の操作など排泄に関わる一連の動作を「やってみましょう」「きっとできますよ」などの応援にも似た声掛けを行い「動き出し」を促していきました。

 

すると…いままで介助で行って いた排泄に関わる全ての動作をご自身で出来るようになりました。

介助者にされるのではなくご自身で行う。この「できる事が増える事」だけで日々の生活に活気も出て、立位を保持する力も自然と向上してきました。

安定した立位は安定したズボンの上げ下ろし動作に繋がってきて、最終的にはお一人でトイレを済ませてトイレから出て来られる場面も増えてきました。

 

この生活の変化が気持ちの変化にも表れていきました。

入居者さまに多く見られていたトイレ誘導への拒否やネガティブな発言なども見られなくなり、日常生活においての喜びの様な感情も増えてきたように思えます。

 

「出来る」が増えると気持ちも上向く。この事を体現して頂いた事が結果的に職員の成功体験自信に繋がり有意義な経験となりました。

 

 

 

【事例2】

〇次に97歳の女性の方のケースをご紹介します。

骨折による保存療法で安静臥床期間が長くなりご自身で動くことがほとんど無くなってしまった入居者様です。

 

立ち上がる動作はもとより食事もご自身で行われなくなり食事の量も確保出来な程ADLが低下してしまいました。

もともとは手引き歩行でユニット内を移動されるほどアクティブな方だった為、なんとか元の生活に戻れないか悩んでいる時にこの取り組みを始めました。

 

はじめにフットレストから足を下ろす、この行為から動き出しを促していきました。

骨折の痛みが強い時期は一時「リフト」を使用して移乗を行っていましたが、痛みの軽減に伴って車椅子に座ることが出来るようになりました。

 

この状態から体をご自身で動かすことを思い出して頂く為にこの動き出しを始めました。

初めはほとんど動き出すことが無かったですが、根気強く、ときにはしつこいくらいの声かけ待つ姿勢を見せ続ける事で少しずつ動き出しが見え始めました。

 

本人様の動きが見え始めるとさまざまな変化に波及していきます。

ぜんぜん飲まれなかった水分を飲み始め、立ち上がれなかった状態から両手に手すりを持って歩けるようになっていきました。

 

この「動き出しの変化」にあわせて職員も細かく対応を見直していきました。

食事の場面では自力摂取を促していき、移動の場面では歩行器などを使って少しずつ歩く場面を作っていきました。

次第にトイレに行く事も出来るようになり、食事を手助けする事もなくなっていき、今ではご家族と以前の様に施設内を手引きで散歩できるようになりました。

 

 

 

一度はベッドから出られない生活になってしまった状態から「すこしの動き出し」をきっかけに失った機能、生活を取り戻すことが出来たこのケースは、まさに介護にできる「リハビリテーション」の取り組みではないでしょうか。

 

この「機能」と「生活」を繋ぐ取り組みは特養など介護施設が生活の場だからこそ出来た「介護のチカラ」によるものだと私達は考えています。

 

アットホーム博多の森では来年度この取り組みの対象を拡大していき更に取り組みの輪を広げていきたいと考えています。

そして今後も「動き出しは本人から」の合言葉を大切にし、自立支援を主体とした介護技術の向上の為に取り組んでいきたいと考えています。